グラキリス実生 208週(1460日)塊根植物の土について

今年も既に6月を迎えて4月後半から休眠していた株達も起きてきました。
園芸を始めて5年目に突入し、少しずつ種類も増え自家採種をしたり、環境による成長の違いを楽しんでおります。グラキリスも始めて播種をしてから丸4年が経ち今年も元気に新芽を展開してくれています。毎日見ていると変化を感じにくいですが、写真で比較すると違いを感じる風貌になりました。前回の記事からまた1年経ってしまいましたが、今回はいつもと変わらず成長記録と、去年植え替えた際の土の配合に少し触れようと思います。

2022年7月

まずタイトルにあるグラキリスの成長記録。
始めに去年の2022年7月。
左の株が始めて開花した側で花が散った後分岐し、4分頭に。右の株は花芽をつけなかったが成長点が分岐しこちらも3分頭に。

2023年6月

次に今年で5年目に入った記録。前回から約1年
棚みに今年は2022年と同じく無加温で越冬させており、冬場はちゃんと落葉していましたが、今回は2株とも花芽をつけずに起きてきました。この2株から種子を取る夢は来年に持ち越しです。同じ環境で越冬をさせたはずですが、唯一の違いとして22年は植え替えを夏にし、古い根をだいぶ整理したことぐらいです。直接影響しているのかはわかりませんが、今年は植え替えをしない予定なのでまた来年の様子を見たいと思います。

前回の写真と比べると少し丸みが増し、分頭した成長点も少しわかるくらい枝が伸びグラキリスらしい風貌になってきました。どちらも脇芽を出さずに成長してくれているので、このまま丸くなってくれるのを期待しています。

我が家の土について

我が家で使っている土について記録しておきます。特に変わったものは混ぜていませんが、粒の大きさは全て小粒でなるべく揃ったモノ、潰れないように硬質のものを使っています。割合は以下になります。

配合割合

赤玉土:15ℓ

鹿沼土:10ℓ

日向土:5ℓ

軽石:2ℓ

くん炭:1ℓ

※くん炭以外の土は全て小粒を使用

 

植え替えも播種をする際もこの土のまま使っています。使用感はとても排水性がよく乾きも早いです。個人的には乾き具合が手に持ってわかりやすいので使いやすいですが、置き場の環境や世話の頻度で軽石を抜いたり、赤玉土の割合を増やしたりで保水性を上げてあげるといいと思います。

土の特徴と毎回購入している「プランテーションイワモト」さんのリンクも貼っておきます。イワモトさんの土は粒が揃っており、微塵も少ないので振るいをかける時間も少しで済むのでオススメです。

赤玉土

赤玉土は関東平野に広がる火山灰が降り積もって出来た土壌、関東ローム層の赤土から作られています。赤土を乾燥させてから振るいにかけて、粒の大きさごとに分けたものが赤玉土となります。土にはpHが記されており、これを指標にして植え込みに使う植物を選んだり、配合するときにpHを調整したりします。赤玉土はpH6.0程度なので、弱酸性の土になります。

また、赤玉土は腐葉土などと違い、無機質な用土になります。そのため雑菌などが繁殖しにくく、挿し木などによく使われます。鉢植えにしている観葉植物などの用土の表面に赤玉土を敷くことで、雑菌の他にもコバエなど有機用土を餌としている害虫の繁殖をある程度防ぐことができるようです。保水性、排水性、保肥性に優れますが、赤土は粘土質であるため、排水性よりも保水性と保肥性の機能が上回ります。とは言え、腐葉土や普通の土と比べれば圧倒的に排水性に優れているので、あまり心配はいりません。

赤玉土は最初の方は粒になっていますが、水やりや風雨にさらされることによって風化し、ただの赤土に戻ってしまいます。そうなると排水性が一気に悪くなり、根腐れなどの原因になりかねないので、定期的に確認をする必要があります。また、赤玉土を焼き固めたものが硬質赤玉土として販売されています。こちらは赤玉土よりも硬く、崩れにくいのですが、その分保水性と保肥性に欠けます。そのため、硬質赤玉土を使う場合は腐葉土やピートモスなど他の土と混ぜ合わせて使うのがおすすめです。

我が家で使っているのは三本線の硬質赤玉土です。とても硬く2年植え替えをしませんが余裕で潰れずに形状を保ってくれています。

鹿沼土

「鹿沼土」は、「かぬまつち」と読みます。「土」という字が付いてはいますが、実は鹿沼土は軽石の仲間で、有機質や肥料分はほとんど含まれていません。栃木県の鹿沼市にある関東ローム層で、群馬県の赤城山が噴火したときの火山灰がたまって風化したものが「鹿沼土」として利用されています。

鹿沼土は、粒の表面に細かい孔がたくさん空いているため、水分を含んで保持する性質があります。また、粒表面が凹凸していることから、粒と粒の間にすき間ができ、水や空気を通します。

pH4~5の酸性

火山灰である鹿沼土は、酸度がpH4~5の酸性です。この性質を活かし、サツキや盆栽、ブルーベリーなど、酸性土壌を好む植物の栽培に多く使用されます。

日向土

日向土は、宮崎県南部でとれる軽石の一種です。読み方は「ひゅうがつち」です。このうち、乾いた軽石のことを日向土と呼び、湿っている土のことをボラ土と呼びます。

ボラとは「役立たず」という意味があります。これは日向土がとても水はけがよく、土として役に立たないことからこのような名前となっています。しかし、実際には役立たずではなく、他の土と混ぜることでより良い土づくりをすることができます。

日向土にはとても小さな穴が開いているのが特徴で、水はけがよい特徴があります。日向土を使用することで排水性もよくなり、根腐れ予防にもなります。根腐れしやすい植物にはよいでしょう。

日向土は、ほぼ無菌でとても清潔です。その分肥料成分もほぼありませんので、日向土を単体で使用することはありません。

日向土は粒が硬い特徴もあるため、鉢に敷き詰めても形が崩れにくく、菌を含まないため清潔で洗えば再利用することも可能です。

また日向土は、pH6ですので、弱酸性となっています。植物の栽培によい微生物の多くは弱先生の土を好むため、日向土を混ぜることで微生物が活発になり、よりよい土壌を作ることができます。

くん炭

籾殻を出来るだけ無酸素の状態で炭化(蒸し焼き)させたものです。十分酸素がある状態にしてしまうと炭化せず白い灰となってしまいます。籾殻の固い殻は主にケイ素からできています。窒素成分やカリ成分は少なく、微量要素である銅・マンガン・鉄・カリウムなどのミネラル成分を含んでおり、燻炭化することでこれらのミネラルが溶出しやすくなります。

籾殻に限ったことではありませんが、一般的に植物を燃した後に残る物質(炭や灰)を水に加えその上澄みの酸性度を計ると、アルカリ性を示します。これは植物が熱を受ける際、炭酸カリウムや炭酸ナトリウムなどの成分が生成され、これが水に溶け出ることによりアルカリ性を示します。籾殻くん炭にもこのような性質があり、酸性に傾いた土壌を中和することができます。

土壌が中和されることにより、土壌生物や有用土壌菌の生活環境の改善が期待できます。土壌環境が良くなると、土壌生物や有用土壌菌が各種ミネラルを作物に取り込みやすい形に分解します。土壌微生物の活発な活動は、土壌の団粒化を促進させ、通気性・保水性を改善させ、作物の根張りを良くします。ただし、籾殻くん炭は窒素とカリウムをあまり含みません。そのため、これらが不足している場合、鶏糞・牛糞堆肥などを混用すると不足を補うことができます。有機肥料は悪臭を発するものもありますが、籾殻くん炭は脱臭作用があるため臭いを抑えることができ(アクアリウムの消臭で使われている)、なおかつ肥料バランスの改善も期待できます。

籾殻くん炭の臭いに反応する害虫がいることも報告されているようです。例えばアブラムシは籾殻くん炭の臭いが苦手といわれています。害虫の忌避剤としても活用できるかもしれません。

軽石

まとめに

大体の我が家の植物はこの配合で調子は良さそうです。パキポディウム、ユーフォルビアなどはこのまま使い、潅木系は植え替えの際オリジナル用土に赤玉土を20%足して、モンソニア(サルコカウロン)などはオリジナル用土を1として小粒の軽石を1:1混ぜて使っています。簡単なご参考までに。また今年実生したモノや自家採種できたものなどまとめられるといいです。

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